今回はお墓の事とは直接関係はありませんが、8月ということもあり、お盆のお話をさせて頂きます。
お盆は私達に生命を伝えて下さった先祖の方々の心が、お帰りになられる大切な時です。お盆をはじめ先祖供養には古い歴史があるため、各地の習慣や各家庭の伝統によっておまつりの仕方も様々ですが、親しい人が久しぶりに訪ねて来られる時と同じような気持ちでおもてなしをしたいものです。
今回は、お盆のおまつりの仕方について一つの例を挙げ、少しその意味についてふれてみたいと思います。
お迎え火
年に一度お帰りになられるご先祖様への道しるべです。昔は家の玄関先などでおがらを焚きましたが、今では代わりに盆提灯を灯します。ご家庭にあるようでしたら、仏壇脇に置いて下さい。
今のように町中が明るくなかった時代には、お迎えのために灯火はとても大切なものでした。山の上で火を灯す大文字焼きも、遠くから見えるように工夫されたものです。
精霊棚(しょうりょうだな)
ご先祖様や、亡き人の精霊をお迎えしてまつる祭壇です。以前は家の縁側に作りましたが、最近では普段おまつりしているお仏壇で兼ねる場合が多いようです。お仏壇はご先祖様が帰られる場所ですので、丁寧に清めてお迎えしたいものです。
お供えは、普段通りお線香・ロウソク・お花が基本ですが、それ以外にも、果物やそうめんなど季節のものをお供えしたりします。また、亡き人の好物だったものも忘れずに供えてあげたいものです。ただし生臭いものは避けます。
地域によっては、蓮の葉を敷いた上に、野菜・果物・麺類・乾物(昆布・高野豆腐・かんぴょう)などを乗せたものや、盆菓子をお供えしたりします。
霊供膳(りょうぐぜん)
仏前にご飯をお供えするのも普段通りですが、初盆の場合は、霊供膳を用意してお供えすることが多いようです。
霊供膳は原則として精進料理でなくてはなりません。ダシも魚のものより昆布が良いでしょう。また、ネギやニラなど香りの強い野菜も避けます。献立は一汁三菜が基本です。一例を挙げると、
・飯椀(ご飯)
・平椀(高野豆腐・ゆば・しいたけ等の煮物など)
・つぼ椀(豆・煮しめ・こいも・ごぼう・れんこん等の煮物など)
・高杯(漬物など)
・汁椀(お汁)
などです。ここに挙げた料理は一例ですので、ご家庭で工夫して頂ければよいと思います。
お供えの仕方は下の写真をご参考にして下さい。
ちなみに向きですが、お箸がある方をお位牌のある方向に向けてあげて下さい。
「食べられないのに、なぜお供えをするの?」とよく聞かれます。確かにご先祖様方は生きておられた時のようにご馳走も食べられません。でも、真心を込めてお供えを用意した私たちの心をちゃんと味わっておられます。そして、家族中が仲良く暮らしていることを、何よりのご馳走とされているのです。
ご協力 霊山寺様