日本古来のお墓の形(=和型)でも、地方地方によって形が違うのをご存知でしょうか? 関東や九州など、遠方の地域で形が違うのはもちろんなんですが、実は関西の中でも「大阪型」「神戸型」「京都型」と、3つも形が違うんです。
それでは早速その違いをご説明していきます。あらかじめ断っておきますが、あくまでも基本的な形でご説明致します。それぞれの石材店での微妙な細工の違い、または部材や加工のオプション的なご選択により、個々のお墓で形は変わります。「ウチの墓は大阪型やけどこんなんちゃうで」などの苦情はご遠慮下さいませ。
まずは「大阪型」です。図面を見た方がわかりやすいと思いますので、まずは下の図をご覧下さい。
これが大阪型の基本形です。やはりこの形で見慣れた方も多いんじゃないでしょうか?「水鉢」と呼ばれる部材の、お水をお供えする「水皿」が前で、お線香をお供えする「香炉」が後ろ(上)にあるのが特徴です。
次は「神戸型」です。
パッと見た感じは大阪型とそんなに変わりはないのですが、「水鉢」の形が違うのと、「供物台」という部材が付いているところが異なります。
「水鉢」は大阪型と逆で、「香炉」が前で、「水皿」が後ろ(上)になっています。お水を水皿にちょっと入れにくい反面、お線香の灰などが水皿に落ちにくいのが特長です。
また、大阪型の場合、お供え物は水皿の横などのわずかな空きスペースに置くぐらいですが、こうして「供物台」が付いていると、お供え物を置くスペースも確保され、見た目の体裁も良くなります。
次は「京都型」です。
京都型は、大阪型や神戸型とはだいぶ見た目も変わります。大きな違いは「供物台」や「香炉」の形と位置、それと「供物台」が乗っている台石が幅広いこと、仏石などの石塔本体の積み重ね方と、「仏石」の頭の形状です。
まず「供物台」ですが、一番下に設置します。実はこれが納骨穴を隠す部材なんですが、大阪型や神戸型のように「水鉢」にしないのは、石を使う量を少しでも小さくする工夫だという説があります。「香炉」は太鼓のような独特の形状になり、「水皿」は上台と呼ばれる2段目の石に直接皿掘り加工を施します。
次は仏石等の石塔本体の積み方ですが、大阪型と神戸型は、それぞれの石の中心に合わせて積んでいきますが、京都型は後ろへずらします。これは香炉や水皿の配置上の理由によるものなんですが、これも石材の量を減らす工夫だとも言われています。
それと「仏石」の形状です。大阪型と神戸型は上が平らになる部分がありますが、京都型は平らの部分がほとんどなく、ドームのような加工をします。
ちなみに成和株式会社では、大阪型と神戸型をミックスしたものを和型の標準としております。簡単に言えば、供物台の無い神戸型です。なぜ供物台がないものが標準かと申しますと、「お供え物はお参りが終わったらすぐ持って帰るんだから、別に供物台は要らないよ」という方もいらっしゃるからです。それでは大阪型でいいじゃないかというご意見もありますが、上記でも書きましたように、神戸型の水鉢の方がお線香の燃えカスが水皿に落ちにくく、水皿に汚れが溜まりにくいメリットがあるため、弊社では神戸型の水鉢を採用しています。
少し細かかったかもしれませんが、気にして見なかったら同じように見える墓石でも、実はいろいろ違いがあるものです。「もう少しここをこうしたい」など、墓石について何かご要望などがございましたら、お近くの成和株式会社のお店まで、お気軽にご相談下さいませ。