霊園選びをする際、たまに「ウチから見たら鬼門の方角やねん」など、方角を気にされる方がいらっしゃいます。確かに「鬼門」っていう言葉自体はなんとなく知ってますが、どういう意味なんでしょうか。ちょっとまとめてみました。
鬼門とは、中国から伝来した陰陽道がネタ元になっており、北東の方角を指します。中国でなぜ北東の方角が恐れられていたかと言うと、北方の匈奴などの異民族からの侵攻に常に怯えていたためという説があります。万里の長城はそれを示した証拠でもありますね。当時の中国の周・秦・漢・隋などは現在の西安が首都なので、政治の中心地は現在の中国の西の方にありました。だから真北というよりは北東から鬼(災い)が来る、と信じられたのでしょう。
それが、根拠を省いたまま鬼門という言葉だけが残り、陰陽道とともに日本に広まったと考えられています。その陰陽道はというと、平安時代でこそ大流行しましたが、江戸時代には既に衰退し、明治維新の時には新政府から迷信として廃止され現在に至っています。
ということですので、元をただせば、現代、しかも日本には、全く関係のないお話しです。それを占い師などの方々がテレビでまことしやかに語るため、「鬼門(北東)=ダメ」という固定観念が植え付けられた人もいらっしゃるのでしょう。
偉人の中には真っ向から鬼門に反対した人達がいます。例えば、徳川三代将軍の家光公は、鬼門だとして意見した家臣を「我が敷地、領土全てなり」と一笑に付し、松下幸之助氏は会社の新拠点を門真に移す際、鬼門だと心配した部下に、「日本は南西から北東に伸びている。ならば日本中が鬼門だらけである。」と言ったといいます。家光公は徳川十五代の礎を作り、松下は門真を拠点に世界的企業に発展したことは言うまでもないことでしょう。
何を信じて何を信じないか、それは個人の自由ですが、少なくとも人の不安や恐れにつけ込むような話は、眉に唾を付けて聞いた方がいいのではないでしょうか。